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蛭子能収のうきうきギャンブラー人生

2時間の空きにギャンブルを

 午後、中野でドッキリの番組をやって、意外と早く終わってしまった。今日はこの後17時発の新幹線で名古屋に行きトーク番組に出て、名古屋の最終新幹線で東京に帰って来る予定だ。2時間半くらい、空き時間ができてしまい、どうするかマネージャーと考えた。
 「平和島で新鋭王座決定戦の舟券買いするというのはどうですか?」とマネージャーが言う。「ああ、そして品川から新幹線に乗ればいいのか」と私。二人の意見は一致した。
 中野から神田に出て京浜東北線に乗った。意外と時間がかかるものだ。目的地に早く着きたいと心が急ぐと距離が遠く感じる。

 場外舟券売り場、平和島劇場へ着いた。舟券売り場に「劇場」という名前がついている。名付けたのは芝居の役者なのかもしれない、と思ったが、別に調べる必要はないので中へ入る。
 ここはギャンブラーの天国。なんと6ヶ所の競艇場の舟券が売っているの。6ヶ所に手を出すと、大変でしっちゃかめっちゃかになるので、私は桐生と多摩川と戸田のレース場、計3場の舟券買いをすることにした。遊べるのは2時間。2時間半と思っていたが、意外と時間がかかったので2時間遊んだら品川へ向かおうとマネージャーと話し合った。

 3場分を買おうとすると、一つ一つのレースについて、きちんと予想を立てるのは無理。本命を買うのか穴を買うのか、それとも出目買いか?
 私はこういう時、出目買いを選ぶ。そう「1」「2」「5」「6」のボックス券である。といいつつ他の目も買う。例えば「1」「2」「3」のボックス。これは「3」「2」「1」で決まると万穴になったりするのだ。そして、たまたま見たスタート展示で「6」がよかったりすると「1」「3」「6」、「2」「3」「6」、「3」「4」「6」、「3」「5」「6」のボックス券も買ったりする。
 明らかに買い過ぎではあるが、3万円くらいの大穴になると儲けたりするから、ついたくさん買ってしまう。もちろん当たって赤字なんてこともある。

 買い方を考えてみたが、まったく当たらず時間だけが過ぎてゆく。マネージャーが「そろそろ」と言うので桐生の最終レース、優勝戦の舟券だけ前売りで買って私たちは劇場を出た。
 来る時は早く着きたいと思っていたが、今、ポケットから約6万円のお金が消えている。たった2時間でバカなギャンブルに手を出したものだと反省しつつ、大森駅のATMでお金を下ろすのだった。
 逆にマネージャーは15000円勝ったと喜んでいる…。

 最後の希望、優勝戦はどうなったのだろうか? 「1」は條崎仁志、本命。私は「1」から「3」「4」「5」の2、3着流し、念の為「1」「3」「4」「5」の4点ボックスも買っていた。自信ありの舟券買いだった。

 さァ勝ってマイナス分の6万円を取り戻せるぞと、帰りの新幹線でケータイを期待して見ると、「1」「6」「3」、16000円の配当。何と万穴! だが、ここは堅く絶対勝つつもりで、他より力の弱い「6」を外していたのだ。いつも穴買いしてるのに…私はギャンブルには向いてないのかも……。

 

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著者略歴

  1. 蛭子能収

    1947年長崎生まれ。漫画家、俳優。看板店、ちりがみ交換、ダスキン配達などの職業を経て33歳で漫画家に。その後TVにも出演。現在「蛭子コレクション」全21冊のうち7冊発売中。ギャンブル(特に競艇)大好き。カレーライス、ラーメンなど大好き。魚介類や納豆は苦手。現在、タレント、俳優、漫画家、エッセイストと多ジャンルで活躍中。

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