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蛭子能収のうきうきギャンブラー人生

常滑にて

 久し振りに競艇場からの仕事がきた。
 名古屋のセントレア空港内に常滑競艇場の場外発売場があるらしい。今日はそこで仕事して欲しいというのだ。
 空港内に競艇場の場外発売場があるなんて聞いたことがなかった。しかも東京から名古屋まで行く飛行機があるってことも知らなかったのである。東京から名古屋へ行く場合、どう考えても新幹線じゃないのか?
 ところが飛行機の中は客でいっぱいだ。へえ、結構利用者がいるんだな-。

 乗ってから約一時間強でセントレア空港に到着。距離が短いから乗ってるのも楽。新幹線よりもいいかもしれない。
 空港内はとても広く、しかも客が少ないのかゆったりした感じである。そしてその中のほんの一角に常滑競艇場の場外発売場があった。10人くらい入るといっぱいになるくらいのちいさな舟券発売場であった。お客が数人いて舟券を買っているようだ。
 私も少し買ってみることにしよう。ポケットに手を入れるが、大したお金は入ってなかった。3万円ばかり。いつもなら10万円くらい入っているのだが、嫁さんと協議の上、私が競艇場で使えるお金がガクーンと減ってしまったのである。まァ、当然といえば当然なんだけど、使い方を誤るとたった2、3レース遊んで終わりということになりかねない。いつものように一つの券を千円買うってことはできないのである。絞って買うなら一枚の券を千円買ってもよいが、多分それじゃ当たりを出すのは難しいかもしれない。
 千円で一点買いか、2百円ずつ五点買いか迷う。2百円ずつ五点買いの方を選んで買うが大穴は怖くて買えない。結局3、4番あたりの人気舟券を五点買った。

 そして本番レース。あっさり私の舟券ははずれ、次のレース、そしてまた次のレースと計3レースやって、ポケットの中のお金は6千円減ってしまったのだった。
 以前は6千円減ったぐらいでは、まだまだ残ってるお金はある、と平気にしてたが、今回は安心感が全くない。とにかく千円でも減ると、かなりヤバいと思ってしまうのだ。
 ドキドキ感があって、スリル満点だが、これじゃ勝てないよ、と弱気になる私だ。

 6千円負けた後、常滑競艇場へ移動。さてこちらはレース水面を直接見て舟券を買える。やはり小さなテレビ画面でレースを見るより、レースそのものを生で見る方がいい。迫力もあるし、レースをしてるという楽しみもある。問題は資金だ。資金が少なすぎる。
 中穴を狙って2百円ずつを五本買いなどやってみるが、当たらない。
 常滑はインが強いレース場だからインから買うが2着3着が外れてしまう。
 結局この日は、ドキドキしながら2万5千円のマイナスとなった。ポケットに残っているのは千円札が数枚。資金が少ないと舟券買いがかなり難しい。
 ああ、困った……。

 


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著者略歴

  1. 蛭子能収

    1947年長崎生まれ。漫画家、俳優。看板店、ちりがみ交換、ダスキン配達などの職業を経て33歳で漫画家に。その後TVにも出演。現在「蛭子コレクション」全21冊のうち7冊発売中。ギャンブル(特に競艇)大好き。カレーライス、ラーメンなど大好き。魚介類や納豆は苦手。現在、タレント、俳優、漫画家、エッセイストと多ジャンルで活躍中。

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