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蛭子能収のうきうきギャンブラー人生

写真を撮る人

 タイトルは「ウキウキ」となっているが最近あまりギャンブルができなくて“ウキウキ”してないのだ。大好きなボートレースは、もう3ヶ月ほど行ってない。パチンコもしてない。あっ、パチンコは最近「仕事で打ってくれ」と頼まれ京都へ行った。京都から迎えの車が来て、それに乗って名古屋方面へ戻る、という行程だった。迎えの車には長い時間乗っていたので、かなり遠いパチンコ店に行くんだなーと思った。

 パチンコ店に着いたら、まず弁当が出され、「昼食の後に蛭子さんの出番になります。よろしくお願いします」と言われた。
 弁当をゆっくり食べて、いよいよ仕事の時間になった。パチンコ店まで連れて行かれ、パチンコをしてるお客さんに挨拶。
「どうも、エビスヨシカズです。今日はこのパチンコ店で打たせてもらいます。よろしくお願いいたします」とマイクで喋るが、店内はパチンコの音が大きくて、まず聞こえてなかっただろう。しかも私がいるところまでお客さんが見に来るかといえば、そういうこともなくお客さんはただただ自分のパチンコ台を見ているだけ。それはそうだろう。私がパチンコ店の客だとして、気になるのは自分の勝ち負けのみだ。ちょっとやそっとの有名人が来ても、やはり大事なのは自分のパチンコの成績である。

 挨拶の後は私もパチンコを打つことになった。
 台を選んで座ってしばらくするとパチンコ玉が無くなったが大丈夫。無くなったら、玉が出てくるボタンを押せばいい。本当はお金を使うところだが、今日はイベント出演なので使い放題なのである。玉が無くなりゃボタンを押す。ジャラジャラと音を立てて500円分のパチンコ玉が台の受け皿へ落ちてくる。これはいいなあ~。お金は使い放題だけど、もし絵柄が揃って当たっても自分のものにはならないだろう。使い放題使っているんだからな…。

 またスタッフの人が来て「はい、パチンコはこれで終わりです。次は写真大会です。遊んでいる人の所に行って一緒に写真を撮りましょう」
 カメラを持ったスタッフとパチンコをしている人の間を歩く。
「エビスさんと写真を撮りませんか? ご希望の方はいらっしゃいませんか?」とマイクで希望者を募ってくれた。
 これは結構、希望者が多くありがたかった。写真はすぐできるのですぐ渡せる。パチンコをしている人と一緒にパチパチと写真を撮り、たくさんの人と写真に収まった。思った以上に希望者は多かった。何年か前まで私はパチンコを打つ人だったが、今は打つ人と写真を撮る人になったのだなあ。

 

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著者略歴

  1. 蛭子能収

    1947年長崎生まれ。漫画家、俳優。看板店、ちりがみ交換、ダスキン配達などの職業を経て33歳で漫画家に。その後TVにも出演。現在「蛭子コレクション」全21冊のうち7冊発売中。ギャンブル(特に競艇)大好き。カレーライス、ラーメンなど大好き。魚介類や納豆は苦手。現在、タレント、俳優、漫画家、エッセイストと多ジャンルで活躍中。

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