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蛭子能収のうきうきギャンブラー人生

イギリスでギャンブル

 イギリスに一回行ったことがある。親類も入れて6名、英語のできる私の友達を入れて計7名の旅行だった。

 ロンドンのホテルに着いて、まずやったことがカジノ入場へのパスをもらうことだった。どの国も大抵は18才以上ならパス無しで入場できるが、イギリスはパスをもらったら翌日からしかカジノへ入れないのだ。面倒くさい国だ。しかしパスが一枚あれば、その友達を何人連れていっても良い。パスは簡単にもらえ、これで明日から毎晩カジノができると喜んだ。
 それで晩飯を食おうと中華料理店へ入った。メニューを見たが、どんな物が来るかわからない。それで比較的安全なチャーハン、焼きそば、タンメン類を注文した。するとウエイトレスが顔をしかめて何か言ってる。英語のできるY氏が「一人2千円以上注文してくれと言ってます」と言う。ここは紳士の国だ。レストランで夕飯を食べるなら、それなりの格好で来て、それなりのお金を使ってくれと言うことなのだな? それは当然。食事の後に飲み物やデザート等追加注文するつもりだから一人2千円以上にはなると思うよ、そう言うと「先に注文して欲しい」と。面倒くさいな。でも、そんなことは簡単なのでいろいろと注文して一人3千円くらいになると「OK」と言って、ウエイトレスは引っ込んだ。
 外国に行って、その国のしきたりに従うのは当然だ。でも何か我々の服装とか(はっきり言っておしゃれじゃない)、団体でどかっと入って来るアジア人に良い印象を持ってないのかもしれない。

 さて次の日の夜、私はY氏と一緒にカジノへ入った。思ったより狭い。秘密クラブのような感じ。バーがあり、その椅子に座って酒を飲み、時々ギャンブルに興ずるのだろう。
 スロットマシーンが5台程、ルーレット台が一つ、カードテーブルが2つ。今までいろんな国のカジノへ行ったけど一番狭かった。
私はルーレットで遊んだが、客はアラブ人と中国人、そして私。やたら大金を賭ける二人に対して私はチップ一枚、二枚を数多く張る。他の人から見れば貧乏な日本人という感じ。あっさり負けて帰った。

  ある日、ロンドンから2時間程、列車に乗って田舎へ行った。すると競馬場があり、私とY氏は家族と離れ二人で競馬場へ。入場料を払って中へ入った。豪華な競馬場だ。しかし私達二人はスタンドへ入るどころかトイレも入れない。Y氏が聞くと、一般の人は立見、トイレも少し離れた所にある、そこでやってくれという。ほとんどの客は会員になっていてすべては会員を楽しませる競馬場になっている。よく聞くと地元の一般客は、ずっと向こうの一般席で見ているとのことだった。
 イギリスは紳士の国だ。実は行く時、なかなかタクシーが捕まらなくて先に乗ったイギリス人2人が私達に「競馬場へ行くなら一緒に乗って行きなよ」と言われ乗せてもらったのだ。料金は取らなくて「やさしい」と思ったのであったが……、入場口が会員席だったというわけ。


 

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著者略歴

  1. 蛭子能収

    1947年長崎生まれ。漫画家、俳優。看板店、ちりがみ交換、ダスキン配達などの職業を経て33歳で漫画家に。その後TVにも出演。現在「蛭子コレクション」全21冊のうち7冊発売中。ギャンブル(特に競艇)大好き。カレーライス、ラーメンなど大好き。魚介類や納豆は苦手。現在、タレント、俳優、漫画家、エッセイストと多ジャンルで活躍中。

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