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蛭子能収のうきうきギャンブラー人生

麻雀改革案

 私はギャンブル大好き人間ではあるが知り合いとやるのは好きではない。例えば麻雀。知り合いが4人集まってやるギャンブルゲームだが、友達同士のギャンブルって何かギクシャクしてしまう。
 夕方6時頃から麻雀を始めたが、さて終電車がそろそろだから「この一局でラストにしよう」と決めたにも拘らず、負けた奴が「お願い、もう一回」と頼んでくる。友達ゆえに仕方なくもう一回やってる内に終電がなくなり、いつの間にか深夜になっている。
 これで帰りはタクシーになる。タクシーを使うと、もし麻雀で勝っていたとしてもタクシー代で終わり。タクシーで帰れる場合はまだ良しとしても「頼む、朝までやろう」と言われると、もう次の日は一日中、仕事にならないのである。
 しかも負けた人が「今日は金がないから給料日まで貸して」などという奴がいたら、もう面白さはフッとんで不快になる。

 あと負けた人がレートを上げて元を取ろうとする。一ゲームで5千円くらいのトップ、ビリだったのに倍の一万円にしてくるのだ。こういう奴は一気に取り戻そうという魂胆なのだが結局負けが大きくなるだけのこと。ツキが無いのだから、いさぎよく「今日は負けた」と気持ちよく、負け金を払って終わりにすべきなのだ。
 ギャンブルの面白いとこは、勝った人が負けた人から決めた通りの金を貰うことにあるのに、友達同士だとこの辺りがグズグズになってしまう。これが私は嫌なのだ。
 
 その点、フリーの麻雀荘は、実にきちっとしている。レートは安いが、勝った人が負けた人から、きちんと貰うシステムができ上がっているのだ。しかもフリーの雀荘はマナーにうるさく。他の人に不快な印象を与える客は店側の人が注意して、時には帰ってもらうこともあるのだ。
 友達同士でやる麻雀には必ず一人か二人、マナーの悪い奴がいませんか? 負けた時、点棒を投げてよこしたり、大声で「くそー、今日はツカン」と叫んだり、牌を投げたり、捨て牌を叩いたり。こういう友達には本当にウンザリするのだ。
 全ての麻雀好きは一度フリーの雀荘でマナーを勉強するべきである。

 まァ、麻雀だけでなく友人と賭けをやるのはやめた方がいい。仲がおかしくなってしまう。
 私は友人が「次に、そこの角を曲がってやってくるのは男か女か、千円賭けよう」と言ってもきっぱり断わる。千円のやりとりでも私は友達からは貰いにくいし、払う時は払うつもりだが、勝った時に貰いにくいギャンブルなんてやりたくもない。

 しかし法律はフリー雀荘に厳しい。麻雀でお金を賭けるのは違法ゆえ、フリー雀荘そのものが成り立たないのである。ここからは私の願いであるが、フリー雀荘は20歳未満出入禁止。21歳以上は国が決めた金額(例えばピンのワンスリー)、一局の負けが6千円までなら店のマナー規則にしたがって遊ぶこととする…くらいでなんとか法をやわらかくして欲しいのだが……。
 

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著者略歴

  1. 蛭子能収

    1947年長崎生まれ。漫画家、俳優。看板店、ちりがみ交換、ダスキン配達などの職業を経て33歳で漫画家に。その後TVにも出演。現在「蛭子コレクション」全21冊のうち7冊発売中。ギャンブル(特に競艇)大好き。カレーライス、ラーメンなど大好き。魚介類や納豆は苦手。現在、タレント、俳優、漫画家、エッセイストと多ジャンルで活躍中。

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