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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

12年もかかった理由

 さて、12年振りの小説が絶賛発売中なので、その本に関することをあと1ネタ書いておこう。 
 なぜオレは、この「ともだち」という本を書き上げるのに12年もかかってしまったのか? それを明かす前に、まだこの小説を読んでない人もいると思うので、ネタバレにならないためにも、今回主役になったオレの友達3名を、それぞれⒶ、Ⓑ、Ⓒというアルファベットで表記することにする。 
 
 今から10年前オレは友達になったⒶを主人公にして、それで小説を書こうと思った。で、早速執筆を始めたのだが、う~~ん……確かに少しは笑いも取れるし、涙も誘える話になりそうだったが、これではシングルヒットで終わってしまいそうな気がした。考えた末、オレは8年前にⒷという友達も主人公に加え、そして、ⒶとⒷと自分が絡んだ話を書いていけば、それなりに話は広がると思った。 
 かくしてオレは、ⒶとⒷを主人公にした話を一から書き直していたのだが、そのうちどうしても、もう1人のⒸという友達もその小説の中に登場させたくなったのである。で、考えた挙句、オレはⒶⒷⒸの3人を主人公にして再び最初から小説を書き直すことにした。そうすれば今度こそホームランを打てると思ったのだ。 

 そして、それを書き進めているうちに、オレは精神的な病気を持っているのは、その中のⒶだけだと思っていたのだが、実はⒷも、さらにはⒸまでも精神的な疾患を持っていることを知ったのである。つまり、オレは書きながらも、ⒷとⒸに対して今まで気づいてなかったことが次々と出てきて、(えっ、じゃあ、あの事件はソレが原因で起こったのか!)と度々ビックリしていたのだ。そう、現実に起こっていることの方が小説を楽々追い越しちゃっていたのである。 
 さらに、そのうちⒶⒷⒸの3人のことを書いている自分にも、実は精神的な疾患がある疑いが出てきて、オレは今回の小説を書いているのが本格的に怖くなってきた。そして、今から5年前にある一大事件が起こってしまい、オレはショックのあまり当小説を書くのを止めてしまったのである。また、悪い事は重なっていくもので、長年すれ違っていた嫁との仲も最悪になっていて、と同時に、この時期は息子の塾代やら、各部屋で作動してる超電力を食うバカみたいなエアコンの電気代、それから毎月積み上げていた生命保険代なんかを合わせると、月に100万円近い金額が飛んでいたのだ。少しはあった貯金もアッという間に無くなっていったのである。 
 
 オレは焦っていた。で、その焦りを時々グルメの日帰り旅行などに出掛けて誤魔化していたが、貯金は遂に0円になり、それからは恥ずかしい話だが、兄弟や親しい友人などに借金をすることになったのである。そして、オレはその状態から脱出するために27年間結婚生活を続けてきた嫁と離婚。加えて、生まれてきてからズッと住んでいた立川の土地を売ることにした。 
 結局、土地は1年後に、ようやく納得出来る額で売れた。そして、スグにお金を借りていた者たちにソレを返済し、嫁にも世間並みの離婚料を払った。そして、第二の人生のスタートをオレが西武ライオンズ戦を観戦した帰りに必ず寄っていた、埼玉県富士見市にある友人の串カツ居酒屋の近所のマンションで一人息子と迎えることになったのである。 

 何でそんな田舎町に引っ越したのかと言うと、とにかく暫くは静かに暮らしたかったのだ。つーことで、引っ越しから2~3ヵ月経って、ようやく再び小説を書き始めたオレは、今から2年前にその第一稿がようやく完成。そして、その後のことは先月の当コラムに書いた通りである。 

いや、今までもオレは結構山あり谷ありの人生を送ってきたが、こんなにめんどくさい10年間を送ってきたのは初めてのことだった。でも、これでようやくオレを長年悩ませていた便秘の、肛門近くの栓になっていた巨大ウンコがバフッ!!と出たみたいで、これからはもっと早く次の作品を出していけると思う。 


つーことで、そんなオレが実話をもとにして書いた小説『ともだち~めんどくさい奴らとのこと』を是非買って下さいね。完成まで12年もかかったんだから(笑) 

 

 

『ともだち~めんどくさい奴らとのこと~』

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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