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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

まるや三バカ親父愚論会

 

 今から10年前。埼玉県富士市で串カツ居酒屋『まるや商店』を始めた塚ポン(49)。
 その居酒屋があまりにも居心地が良く、離婚を機に第2の人生を送るために、そのまるや商店の近くに引っ越したオレ(60)。
 そして、元々そのまるや商店の近くに住んでいて、昼間は自営業で雑誌のデザインをやり、夜は必ずその息抜きでまるやにやってくるようになった三村さん(65)。
 まるやのカウンターでは、この3人がいつも揃い、そして、ポンコツなムダ話をいつも交わしているのだ。そこで今回は、オレ達が実際にどんな会話をしてるのかを再現して紹介したいと思う。が、そのあまりにも 下らない内容に怒り出さないでね。あらかじめ言っとくよ。

三村さん(以下、三村) 「………うい~~~っと! 塚ポン、生ビールもう1杯!」
塚ポン「はい、三村さん、生ビールおかわり!」
 三村さんにお代わりの生ビールを持ってくるアルバイトの女のコ。
三村「はい、ありがと。……グビ、グビ、グビ、グビ、グビ………うい~~~っと! 塚ポン、生ビールおかわり!」
塚ポン「はい、三村さん。生ビールおかわり!」
ゲッツ「しかし、65……いや、もうすぐ66にもなるのに、居酒屋に来て毎晩1分以内に生ビールを2杯も飲み切る人っていますかねぇ?」
三村「いるよ、ここに。……グボォ~~~!!」
ゲッツ「うわっ、今日ものっけからゲップ砲ですか。てか、女にフラれてヤケ酒食らってる高校生じゃないんスから」
三村「いや、そんなこともダイエットのことを気にして、この店に来てもウーロン茶しか飲まないゲッちゃんに言われる筋合いは無いよっ。……ゲボ~~ッ!!」
ゲッツ「うわっ、まさかの2発目!」
塚ポン「アハハ、連射ですね」
三村「うるせえなぁ~。そんなますます太っちゃって、首が完全に無くなってる北朝鮮のロケットみたいな体形の男に言われたかないよっ」
ゲッツ「プハッハッハッハッ、北朝鮮のロケットって。プハッハッハッハッハッ!」
三村「ノドン、テポドン、塚ポンってな。キシシシシシシッ!」
塚ポン「いや、三村さんだって全体的には俺やゲッツさんほどデブじゃないけど、酒の飲み過ぎでお腹だけは、まるで浮輪をしてるように出てるじゃないですか」
ゲッツ「プハッハッハッハッハッ!! 浮輪腹さん、浮輪腹三村さんですよね」

三村「この野郎、肥満体2人揃って人のことを馬鹿にしやがってえええっ……あっ、ありがと」
 そう言って、アルバイトの女のコから新しい生ビールが入ったジョッキを受け取る三村さん。

ゲッツ「勘なんですけど、三村さんって妊娠してますぅ?」
三村「ガボオオオッ!! ……うおいっ、ビールこぼしちゃったじゃねえかよ!!」
ゲッツ「じゃあ、三村さんって動物園に行った時って、まずはライオンを見ないと落ち着かない派ですか?」
三村「知らねぇーよっ! てか、動物園なんて、もう40年以上行ったことがねえよ」
塚ポン「じゃあ、次に行く動物園が人生最後の動物園ですね?」
三村「こらっ、北朝鮮のロケット。客になんってこと言うんだ。……グボォ~~~!!」
ゲッツ「はい、早くも3発目のゲップ砲発射!」
三村「ゲッツ!!」
ゲッツ「てか、三村さん。アメリカとか欧米の方だと、ゲップってオナラと同じ扱いをされるんスよ。つまり、三村さんはココに来ると、いつもアフリカ象の鳴き声のようなオナラを3分に1回ぐらいのペースで発射してるんスよ」
三村「3分に1回ってそんな頻繁にするかいっ!!」
ゲッツ「しかも、見た目だって、身長だって180センチ以上あるし、ギョロ目で白髪鬼みたいだし、その上、3分に1回の大放屁ですよっ。そりゃ、おおかたの奴らは逃げますって」
三村「どこに逃げてんだよっ!? じゃあ、何かい。俺はいつもこのまるやの営業妨害をしてんのかよっ?」
ゲッツ「そういう意味じゃ、このまるやに来るお客も根性入ってるよなぁ~。いつも店の入口近くのカウンターで白髪鬼が飲んでるのに平気で入ってくるもんなぁ~」
三村「この野郎、ゲッツ。お前だって人のこと言えるかよっ。そんなスキンヘッドにサングラスかけて、ヤクザ、もしくは連合赤軍みてえじゃねえかよ!」
ゲッツ「塚ポン、ウーロン茶。出来るだけ薄くでお願いしまぁ~す」
三村「おい、人の話を聞いてんのかよっ?」
ゲッツ「ところで三村さん、三村さんは松田優作よりショーケンの方が好きですよね?」
三村「えっ…… おお、そうだよ。ショーケンの方が好きだよ!」
ゲッツ「そうですか……。三村さんは何で最近串カツを頼まないんスか?」
三村「っていうか、ショーケンの話はもうおしまいかよっ?」
塚ポン「あ、ショーケンって言ったら……あの、何で“ショーケン”ってアダ名が付いたか知ってます?」
三村「えっ……し、知らねえよ。何で?」
ゲッツ「昔、小さい犬を飼ってたからですよ!」
三村「えっ……小さい犬!?」
ゲッツ「ま、それはウソなんですけどね」
三村「おいいいっ!!……すいません、今度は酎ハイくれる?」
塚ポン「はい、三村さん、酎ハイ入りましたぁ~。あ、それでどういう経緯で“ショーケン”ってアダ名が付いたかって言うとですね。荻原健一が中学の時にケンイチって名前の生徒がクラスに3人いたみたいで、それで呼ぶ時にわかり易いように、1番デカい奴がダイケン、その次がチュウケン、そして、1番小さいのがショーケンって呼ばれることになって。荻原健一は中学の時は小さかったから、それでショーケンってアダ名が付いたみたいなんですよね」

ゲッツ「どうしたんスか、三村さん。ポカ~ンっとした顔しちゃって。ロボコンに100点出されたガンツ先生みたいですよ」
三村「いや、俺、萩原健一は前から好きだったけど、その話は初めて聞いたわ……」
ゲッツ「じゃあ、三村さん。塚ポンに1杯おごってやって下さいよ」
三村「あっ……おお、塚ポン、何か1杯飲めよ、俺につけといていいから」
塚ポン「ありがとうございます。でも、まだ早い時間だから遠慮しときます」
三村「な、何で?」
塚ポン「俺、自分で串カツ居酒屋をやってながら、酒を3杯飲むと、もう訳がわからなくなっちゃうんですよ、酔っ払って」
ゲッツ「ああ、そうだった、そうだった。ほら、三村さん。先月ココが休みの月曜日に、オレが運転手になって3人で板橋の方に飲みに行ったじゃないっスか」
三村「ああ、そういえば行ったなぁ~。確か秋田料理を酒の肴として出す店だったよな」
ゲッツ「そうそう。あの時もオレは車の運転があったからウーロン茶しか飲まなかったけど、あの店で塚ポンは最初生ビールを1杯飲んで、その後、色々なモノを食いながら酎ハイを2杯飲んだら、もう完全にベロベロだったよな。プハッハッハッハッハッ!」
塚ポン「って言うか、その酎ハイを飲んだことすら覚えてないです」
三村「おい、ウソだろ?じゃあ、あの後、近くにあった『白くま』っていうラーメン屋にも入って、お前はみんなが満腹だったのに1人で醤油ラーメンの大盛りを食べてたのも……」
塚ポン「まったく覚えてません。しかも、その後、『みずほ台』駅までゲッツさんに送ってもらったのも全く覚えてませんし、そこから自転車に乗って家に帰った記憶も何1つ無いんです」
三村「たった3杯しか飲まなかったのに……それって別の意味で怖いよ!」
塚ポン「おまけに、その翌日の朝に嫁に言われたんですけど、俺、夜中に家に帰ってきたら、いきなり大声を上げてスッ裸になったと思ったら、冷蔵庫の中からステーキ肉を取り出して、それを焼いて食べてたらしいんですよね。もちろん、それもまったく記憶にありません」
ゲッツ「プハッハッハッハッハッハッハッハッ!! だから塚ポンはハンパない速度でデブになっちゃうんだよ。だって、オレと初めて会った約10年前は60キロぐらいしかなかったろ? なのに今は?」
塚ポン「94キロです……」
三村「文字通り1.5倍か。ダメだこりゃあ」

 

 つーことで、オレら3人は毎晩のように「まるや商店」で、こんな下らない話をしています。なので時間のある人は仲間に入れてあげますので、東武東上線「みずほ台」駅から歩いて5~6分の 「まるや商店」に来て下さい。以上。

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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