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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

オレも吉野家大好きっス!

 現在、オレが住んでいる埼玉県富士見市にある東武東上線「みずほ台」、その片田舎駅前にあった富士そばが先日突然潰れた。 
 普通なら、そんな駅前ビルのホットスポットが空いたのなら、すぐに他の企業や店舗が入っても良さそうなものなのだが、1カ月以上経った現在でも未だに空店舗のままだ。で、そうなるとオレの友だちの塚ポンが経営してる串カツ居 酒屋の「まるや商店」、そこの常連の間では当然のごとく、その駅前スペースにどんな店が来たら1番嬉しいかって話になる。そして、先日算出された約15名のアンケート結果が次のようになった。 
 1位、吉野家。2位、ケンタッキーフライドチキン。3位、モスバーガー。 

 まぁ、割と当り前の結果だと思った。てか、オレは改めて、ちょっと嬉しくなった。オレと同じく、牛丼の吉野家好きがこんなにいたのである。 
 現在、富士見市には一軒だけあった吉野家が昨年潰れてしまい、「吉野家0」という最悪の街になっている。そう、1番近くの吉野家は2つ隣の駅前に行かなくてはならないのだ。 
 ちなみに、前まで住んでいた東京郊外の立川市でも、オレのいた錦町には勿論一軒の吉野家もなく、が、車で5分ぐらい走ったところに1軒あったものの、そこもあろうことか潰れてしまった。で、立川駅前には北口、南口の近くにそれぞれ1軒ずつ吉野家はあったのだが、車で行くと無料で停められる駐車場もなく、違法駐車を1分でもしようものなら スグにミドリ虫のジジイがやって来て、レッカー車を呼ぶ手続きを始めるので、早い話が気軽にスグに牛丼を買える吉野家が身近に無かったのである。 

 いや、でも、それ以前にオレと吉野家の間には、1つ容易には超えられない大きな障壁があるのだ。それはオレがあまりにも吉野家の牛丼が好き過ぎるがために発生する問題で、要は(あ~~~っ、吉野家の牛丼が食いてえ~~~!!)という願望が強過ぎるため、いざ街内で吉野家を見つけて入っても、その牛丼を食うという5分ぐらいの行為が願望を 全然満たさないのである。で、いつも吉野家を出る時は(ああ、大好きな吉野家の牛丼を食った~!!)っていう喜びの気持ちより、(おい、あれ程楽しみにしていた牛丼タイムがアレで終了かよ!? 足りないっ、足りないっ、足りないよおおお~~~っ!!)って悔悲しい気持ちになるのだ。 
よって、オレは吉野家を見つけても滅多に入らない。そう、あまりにも好きなので、入っても結局は悔悲しい気分で店を後にするのが分かってるからなのだ。 

 と思っていたら、つい数ヵ月前のこと。その時、オレは自分のマンションの居間にあるスライド式のシッカリとした椅子に寝転がり、半分ウトウトしながらテレビを見ていた。で、今にも眠りかけようとしたところで、オレの鼓膜に“吉牛”という響きがあって、意識が少し戻ってきた。続いて“超特盛”って響きと“それに更に2皿分の肉だくを“って言葉が続いて、完全にオレの目が覚めたのである。 
 流れていた番組にはオレ同様、メチャメチャ吉野家の牛丼が好きな30代ぐらいの男のタレントが出ており、彼もオレと同じく普通に牛丼を食べてるだけでは全然満足しない。で、考えた末に月に1回の割合で「吉牛デー」という自分だけのイベント日を作り、その日は吉野家に行って、まず牛丼の超特盛(現在921円)を頼む。続いて肉だくという牛小鉢(現在184円)を2つ頼み、超特盛を元にしながら、その途中途中で丼の中に肉だくを投入し、まさに肉づくしの牛丼を思いっきり楽しむというのだ。また、オプションとして生玉子(現在85円)、お新香(現在140円)、みそ汁(現在74円)も頼み、その吉牛 祭りに花を添えるらしい。で、その総金額は1588円。オレの頭の中で「これだあああああ~~~~~~~~っ!!」という大声が轟いた。
 そう、自分の欲求を満たす前に牛丼が無くなってしまうなら、単純にその牛丼の量を多くすればいいのだ。オレはっ、オレはっ、今まで何でこんな簡単な問題が解けなかったのか!?

 で、その翌日にオレは2つ隣の駅の志木駅前にある吉野家に行き、その総額1588円のセットを注文。そして、それらを食べていたら、もう大充実って言うか、ホントに素敵な20分間を味わうことができたのである。その翌日も同じ吉野家で1588円セットを注文。さらに、その翌日も1588円セットを注文したら、その超特盛丼の半分ぐらいを食べた時点で急に気持ち悪くなり、結局そのまま牛丼を残して退店するという醜態を演じてしまいました。 
 つーか、月に1回ぐらいの割合だからいいんだよな。しっかりしろよ、このポンコツ野郎。 

 つーことで、あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします! 

 

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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