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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

祝、免停スパイラル脱出!!

 やったあああっ、やったあああっ、やったあああ~~~!!
 今からちょうど1カ月前、計5年にも及ぶ免停スパイラルから脱出したぞおぃぃぃ~~~っ!! いや、今回の1年間無事故無違反って期間はホントーに長かった。それまでの5年間、免停期間が開けて、よしっ、今度こそ1年間は無事故無違反で乗り切ろうと思っても、いつも考えもしなかったような違反で捕まっちゃって、はい、150日とか180日の免停の繰り返しだったからさ。今度も何があるのかビクビクしてたけど、うんっ、何とか乗り切りましたよ。もう1度、やったあああっ、やったあああ~~!!

 てか、この1年というもの、オレは『糞おやじトロトロ運転』ってのを心がけててね。そう、道路を制限速度をキッチリ守ってトロトロ走ってる老年のおやじがいるでしょ。オレはソレになろうと決めたんスよ。そのキッカケはツイッターのフォロワーであるワダベンって兄ちゃんが、何年も前にやっぱりオレと同じく免停スパイラルに陥っちゃってさ。数カ月置きに免停を食らって、もうホトホト嫌になって思いついた作戦が『自分以外のドライバーはみんな頭がオカしい作戦』というものらしくてね。要は、制限速度をキッチリ守っていたり、一時停止線の前で100%キッチリ止まる車なんて全体から考えると10%もいないでしょ。で、それを逆手に考えて、交通法規を100%守ろうとする自分はマトモで、あとの奴らは法規も守れないキチ〇イだから、自分は一切相手にしないって決めたらしいんスよ。それを徹底した結果、気がついたら免停スパイラルを脱出してたらしくてね。

 で、そりゃいい作戦だってことで、オレも車のハンドルを握った時には今よりも20歳ぐらい年上の、トロくてヨボヨボの運転手になった気分で車を走らせてさ。ガンガン追い越されても気にしない、気にしない。一時停止線上でキチンと止まって、でも、後ろの車にクラクションを鳴らされても気にしない、気にしない。それでもクラクションを鳴らし続けてきたら、その時は車から降りてって「交通ルールを守ってんのに何でクラクションを鳴らされなきゃいけんのじゃ、ぐぅおらっ!!」って文句を言うと、大抵が「す、すいません」って謝ってきてね。 
 ま、そんな糞おやじトロトロ運転をしぶとく続けた結果、遂に1年間無事故無違反を達成して免停スパイラルからの脱出ですよ。 再度、やったあああっ、やったあああ~~~っ!!

 が、実はこの1年の内、1度だけ本格的なピンチがあってね。忘れもしない、アレは今年の3月の終わり頃っスよ。
 その日、オレは千葉に住んでる友達のところに遊びに行っててさ。で、その帰りに夜の11時頃、足立区の綾瀬警察署の前を走ってる時ですよ。急に真後ろが明るくなったと思ったら、そのうちホワン、ホワン、ホワン!!なんてサイレンが響いてきてさ。(何だよ、誰か違反でもしたのか?)って思ってたら、続いて「前の運転手さん、道路の端に止まって下さい!!」なんて声がスピーカーから聞こえてきてね。ルームミラーを見たら、オレの車の真後ろに赤灯を回したパトカーがピッタリくっついててさ。(おい、オレは違反なんか1つもやってねえぞっ!?)って思いながらも、言われる通り車をすぐ先の道路っぱたに止めてね。で、ドキドキしながら待ってたら、運転席の右端からニュっと警官の顔が出てきてさ。オレはドキドキしながらも窓を開けて、わざと強い調子で「オレ、何か違反したの!?」て言ったんですよ。したら、その警官が「すいません、ちょっと運転免許証を持って車から降りてきてもらえませんか」なんて言ってきてね。その瞬間、それまでの経験から(あ~あ、オレ、また何かやっちゃったんだ……)なんて諦めの言葉が頭に流れてきちゃってさ。
 で、重い足取りで車から降りてったら、全部で3人の警官が立っててね。そのうちの1人が「運転手さん、後ろのライトの球が切れてますよ」って言ってきてね。それを聞いたオレは、心の中で(おいおい、何の違反をしたかと思えば後ろの電球切れかよっ。勘弁してくれよぉぉぉ!!)って吠えててさ。そしたら同じ警官が「ま、今回はキップは切りませんが、その手持ちのバッグの中味を見せてもらえませんか?」なんて言ってきてね。本来なら「何でバッグの中味を見せなきゃいけねえんだよ!!」って噛みつくところだったんだけど、ほら、交通違反を勘弁してもらえたから、そんなもんいくらでも見てくれってバッグごと手渡しちゃってさ。てか、この警官たち、オレが薬の売人でもやってると思ったのかな?

 翌日。早速オートバックスに行って、後ろのライトの電球を替えてもらおうとしたら、切れてたのはライトはライトでも後部のナンバープレートを照らす豆電球のようなライトでね。おまけに正確に言えば、そのライトは切れてたんじゃなくて、単なるねじ込みが緩んでてつかなかっただけなんスよ。まったく人騒がせな!!
 ま、そんなことはありつつも、オレは計5年間にも及ぶクソ長かった免停スパイラルから脱出したわけっス。 


 つーことで、さ、来年は車でガンガン西武ドームに応援に行くぜっ!!

 

 

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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