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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

キャーム攻略法

 最近、旧友のキャームと会う回数が年に1回になってしまっている。

 年末にウチで開催される忘年会、それに呼んで会うだけである。いや、ホントはもっとオレの方からキャームと会う機会を増やさなければと思うのだが、実はキャームは学習障害みたいなものを患っている可能性が高いことがわかり、その上でキャームと正面を向いて付き合っていくには、彼がオカしなことを言ったりやったりしたら1つ1つ、それのドコが間違ってて、本来ならこうした方がいいんだよ、ということをキャームが納得するまで話して聞かせなきゃならないのだ。
 が、元々オレもそんなに立派な精神を持っているわけではないし、淡々と人に何かを説いていくのも、それは仕事に対してだけでもいっぱいいっぱいなので、キャームと再び付き合っていく心の用意や覚悟がまだ出来ていないのである。

 ちなみに、数年前、オレがキャームを休むようになると、あろうことかキャームはオレの隣の家に住んでいた弟のセージのところに遊びに来るようになった。で、当然のごとく、スグにセージやセージの嫁のミカも困ることになった。そう、家に上がりこんできたら最後、1人で喋り続けて何時になっても帰らないのである。セージ夫婦も最初の1~2回は、それでも何とか相槌を打ち続けていたが、もう限界だ!!って感じになった。

 そして、キャームが自分の家に遊びに来て約3時間が経過した時、セージがキャームの喋りに強引にこんな言葉を突っ込んだらしい。
「ねぇ、キャームくん。そろそろ俺とミカは山梨県の方に星を見に行こうと思ってんだけど、キャームくんも一緒に来ない?」
 と、一瞬、キャームはポカ~ンとした表情になってから、
「えっ………星しししぃ!? 星しししぃ!?」
 という言葉を吐き、その3分後に帰ってしまい、それから2度とセージの家には顔を出さなくなったという。
 てか、オレがそれまで45年掛けても出来なかったことを、セージはたったの数週間で攻略してしまったのだ。まさしく「じゃの道は蛇」である。


 ま、それはそれとして、再びぼちぼち闘っていくか、キャームと。ふぅ……………。

 

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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