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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

これから日本はどうなるの?

 たまには真面目なことを真面目に書こう。
 しかし、ヤバいよな。この先、日本は更に。結婚しない。子供は作らない。だから人口が減る。
 オレの周囲もイイ歳をコイてるのに殆ど結婚してない奴ばっかりで、たとえ結婚して子供がいても1人っ子の家が多い。つーことは、たとえ子供を1人作ったところで、自分らはやがて死ぬから、2人引く1人で結局はマイナス1人になってしまうのだ。ホントに、そのうちビックリするほどガバッと減るね、人口が。

 ま、やたら人口を増やせばいいってもんじゃないけど、日本人のように世界的に淡白な人種だと人口の減少は、イコール国力の低下に直結すると思う。そう、今まではアジアのエースなんて言われてたけど、すでにその座は中国に奪われて、それどころか、タイや韓国にまでどんどん先を越されていくのだろう。
 そもそも日本人が、何でこんなに結婚や子作りをしなくなったのかというと、定年してからの金銭&介護の制度がシッカリしてないから、それが不安で家族なんか持ってる場合じゃない!!って者が多いからって言われてるけどさ。オレに言わせりゃ、それはちょっと違う気がする。

 オレは22~23歳の頃、数ヶ月だけデザイン事務所に務めたことがある。その時、やたらと各広告のキーワードになっていたのが「ディンクス」、つまり、共働きで子供を意識的に作らない夫婦だったんスよ。要は、好きな相手と二人で暮らせれば、子供なんて別にいいじゃん……っていう生活観だったの。
 で、その傾向が徐々に広がっていき、また、日本のバブル期に後押しされて、経済的にイイ思いをする者がドカーン!っと増えた。すると、今度はディンクスでは物足りなくなっちゃって、子供は要らないのは勿論のこと、結婚すらしなくていいじゃん、その方が自由に新鮮な恋愛が出来るし楽しいじゃん、って生活観が出てきた。

 ところがその後、当たり前のようにバブル経済が弾け、恋愛をするっていっても、女はやっぱり35歳あたりを過ぎるとガクンとモテなくなる。そう、結婚路線から外れていたら、さらにアッという間に5~6年経っちゃって、いつの間にか終電にも間に合わなくなっちゃったのだ。
 そんな情況に日本は20年以上も前から陥ってるのに、何で今も少子化に歯止めがかからないのかというと、逆に言えば、この“少子化っていうのは、将来のことを考えるとあんまりイイもんじゃねえぞ”っていうのが日本の若い国民1人1人に浸透するのに、これだけの年月がかかってるってことっスよ。いや、下手すりゃ、まだ全然浸透してないしね。

 てか、人間の伝達速度って、例えば朝のニュースになるような分かり易い事象なら早いけど、そんなに際立った要素のない、でも、何となくイイ感じの文章やマンガや音楽なんかが世間に伝わっていく速度っていうのは、ホント呆れるほどゆっくりでね。ま、全然参考にはならないかもしれないけど、ボキだって本を5冊くらい出してから、初めて世の中の一部の人にゲッツ板谷っていう変な奴がいるぞ、って気付かれ始めたって感じでね。そう、実はボキが世間の一部の者たちに認識され始めたのって、最初の本を出してから3~4年も経った頃なんスよ。

 ま、ボキの本の話はこのぐらいにして、とにかく、この少子化の本当の理由を簡潔に言い表すのが難しいから、この風潮から脱出するのに20年以上もかかってるんですよ。いや、このオレも実は30歳の時に結婚して今、中学生の男のガキが1人いるんだけどね。バカみたいな話だけど、自分の子供を持つって、やっぱイイっスよ。
 てか、子供がいるバツ1、バツ2あたりの人はともかく、完全な独身者にはわからないと思うけどさ。50歳以上になったら、自分自身の楽しみよりも自分の子供が活き活きと活躍してる姿を見る方が全然面白くなるんスよ。しかも、自分が死んだらすべて終了ではなく、死んだ後のことも今のうちからイロイロ考えられるスよ。いや、オレ的に言わせてもらえば、そりゃ持てるんなら、絶対に自分の子供は持った方がいいっスね。

 つーか、すっかり話したい話題が逸れちゃったので、ココで強引に軌道を修正するとね。
 じゃあ、これからの日本はどうなるかのというと、家族構成についてだけは、時間をかけて少しずつディンクスではなく、昭和型に戻るだろうね。大家族とまではいかないけど、今の2~3人の家族から5~7人ぐらいが同じ家に住むようになる。そう、もしも結婚できても夫婦だけ、もしくは子供を含めた3人で暮らしていると、もちろん自分の親の面倒とかは常時見なくて助かるんだろうけど、やっぱ若い未熟な2人だけで1人の子供を育てていくのってキツいっスよ。それこそ離婚して戻ってきた姉ちゃんとか、下らない駄ジャレばっかりいう親父とか、心配性の母ちゃんとかが必要なんスよ。やっぱりね。しかも、自分の親とかが死ぬ時、自分の子供に年に1回会うジイちゃん、バアちゃんではなく、いつもスグに会える慣れ親しんだ人の死がどういうものなのか……ということも教えられるんだから尚更、両親が完全に惚けるまでは一緒に住んだ方がいいっスね。

 ま、現在、ボキが住んでいる東京郊外の街では、その考えと逆行するように2~3人用の小さな家の建築ラッシュが続いているけど、くれぐれもその狭い家が、そのまま自分が孤独死を迎える墓にならないようにしてもらいたいっス。


 以上。久々に真面目なことを書いたので、頭が痛くなりました。もう寝る。

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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