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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

本場香川、旨い讃岐うどん店 BEST10

 香川県にある讃岐うどん店、オレはかれこれ15年間ぐらい、それらの店に通っている。 
 今まで同県で回ったうどん屋は計83軒。しかも、1回行った店には最低でも3度は行くようにしている。季節によってもお勧めのうどんが違ってくるし、自分の体調や腹の空き具合によっても旨さの感じ方が違ってくる。よって、最低でも3回ぐらいは通わないと、そのうどん屋の真の実力がわからないのだ。 
 で、最近になって、オレのXへの投稿やDMなんかで「今度2~3泊で香川県に行くのですが、どの讃岐うどん屋に行けばいいのか教えて下さい」という質問が結構来るようになった。つーことで、1度その質問にちゃんと答える意味でも、今回は香川県にあるホントに旨い讃岐うどん店BEST10を挙げることにする。ま、勿論オレ個人の感想だけど、参考にしてもらえれば嬉しいっス。
 
第10位『丸亀 渡辺』(丸亀市) 
とにかく「いか天ぶっかけ」が旨い。ここのいか天は、揚げる前にスモークしているので、更にその味がひと味違うのだ。三豊市にも同じ名前の店があるが、そちらと間違わないように。

第9位『山越うどん』(綾川町) 
釜玉うどんを最初に出した店としても有名な香川の名だたる行列店。香川に何回か来た者の間では「まぁ、旨いは旨いけど、あんな行列に並んでまで食いたかねえよな」な~んて言われがちな店だけど、それでも通っていると、やっぱりこの店は特別に旨いことがわかる。
 
第8位『がもううどん』(坂出市) 
この店も昔から有名な繁盛店。お勧めは「キツネうどん」。てか、油揚げ以外を乗せちゃうと、途端にその油揚げ以外の天ぷらなどが邪魔になるので、とにかくうどんを盛るオッちゃんの前では「冷熟の小(冷たいうどんに熱い出汁をかけた1人前のうどんの意)」と注文し、その先のトッピングを自分で盛るところでは油揚げだけを取り、300円を払って店から出てくるべし。この店に初めて行く者の中には「えっ、フツーのうどん屋じゃん」と言う奴もいると思うが、この店は通えば通うほど好きになっていくという不思議なうどん屋です。

第7位『山岡』(観音寺市) 
店の歴史は、まだ数年だが、うどん生地を杵と臼でつくという麺はモチモチ感が凄く、しかも、うどん(小)でもかなりの量がある。そして、その麺に「卵醤油饂飩」を頼むとオレンジ色がかった卵黄が付いており、その卵黄を麺にからめて出汁につけて食べると、ああ……ヤバい、涎が出てきた。
 
第6位『風月』(高松市) 
この店は、去年の11月に初訪問したばかりだが、1番の人気メニュー「かしわ天おろし」より「国産牛の肉おろし」がお勧め。同店は麺も出汁も文句無しに旨いが、そこにA5ランクの牛肉がドドン!っと乗っかってくる肉おろしの旨さは、もう筆舌に尽くしがたいもの。とにかく行って味わってくれ、としか言いようがない。
 
第5位『もり家』(高松市) 
今は無き伝説的な讃岐うどんの名店「かな泉」、そこでこの「もり家」の店主が修業していたことは、あまりにも有名。とにかく、この店のうどんの麺は、エッジがしっかりと立っていて、なのに硬くはなく、明らかに他のうどん屋とは一線を引く旨さなのである。ちなみに、同店は東京の浜松町にも出店し、食べに行ったら高松本店のうどんの旨さと全く同じでビックリし、後で厨房の方を覗いてみたら、本店の店主その人が打っていて再度ビックリ。そう、その時どの店のうどんに1番力を入れなきゃならないってことを熟知してるんスよね。流石です。
 
第4位『おか泉』(宇多津町) 
前記の「もり家」の店主同様、この「おか泉」の店主も「かな泉」で修業していたことは有名。よって、他店と比べるとその麺は明らかに旨く、また、同店が商標登録を取ってる“ひや天おろし”の旨さは不動のものだ。地元の人の中には、この店は高いと言う人もいるが、それでも客が絶えないということは、やっぱり同店が旨いということを証明している。
 
第3位『瀬戸晴れ』(高松市) 
令和4年に移転して、そこから急に話題の店へと成長。この店も麺の完成度が高く、4年前に初めて訪れた時に食べた麺が、当時は凄く旨いと思っていた普通寺市にある「長田in香の香」の外は少しだけ硬く、が、内部は柔らかい麺の旨さを軽く凌いでおり、これはハンパない店が出てきたと思った。ところが、その次の年に再び同店を訪れたところ、その麺は明らかに更に旨くなっており、何だ、この伸びしろは!?と驚かされた。また、この店は天ぷらも旨く、特に「はも天」と「地だこ入りかき揚げ」がお勧めだ。
 
第1位『はりや』(高松市)、『岡製麺所』(綾川町) 
はい、讃岐うどん店の2位は無く、この2店が1位。が、この2店は旨さが全然違うというか、まずは「はりや」のいか天ざるうどんを食べると一発で(ああっ、凄い!!)と思う。そう、麺も出汁もいか天も全部文句無しに旨いのだ。最後の順位だからもう少し丁寧に解説すると、元々麺が旨いところに、打ってから1~2時間しか経ってないその麺を客に食べさせる直前に茹でるので、冷水でもみ洗いされて出てきた麺は、まさに十代の少女の肌のように濡れてキラキラ輝いている。そして、その麺を受け止める付け汁が、香川県の店なのにいりこではなくカツオの出汁がバッチリ効いてて、また、それに魔法としか言えない深い甘さが宿っているのである。最後に天ぷらだが、客の3割ぐらいが未だにカシワ天(鶏天)を頼んでいるのだが、この店でのイチ押しは断然いか天だ。何でそうなのかは、もう実際に食べてもらって自分で確かめてもらうしかないとしか言いようがないが、とにかくこのいか天を1回食べてしまうと、その次からは天ぷらはこのいか天しか頼まなくなるだろう。 
で、「はりや」のその麺と付け汁といか天が1つになると、もうそれを食べている最中でも(ああ、このままこのうどんをズーッと食べ続けたい!!)と思っている自分がいるのである。そう、この「はりや」の特にいか天ざるうどんは、もう他のうどんとは「格」が違うのだ。つーことで、旨い讃岐うどん店の第1位は、圧倒的なインパクトで「はりや」。

そして、その「はりや」と唯一対抗出来るのが、高松駅から車で30~40分走った山間部にある「岡製麺所」だ。この店の現在の店主、岡宏美ちゃん(アニメ『エースをねらえ!』の主人と同姓同名)とは縁があり、オレは15年ぐらい前から知り合いなのだが正直、最初の数年間は同店のうどんを食べても特に旨いとは思わなかった。が、とにかく、この宏美ちゃんの人間性が素晴らしく、香川に行くと必ず岡製麺所でうどんを食べ、その前後に一緒にカラオケなどに行って遊ぶようになった。で、更に数年後。オレの知り合いの間で不思議な現象が起こり始めたのである。友だちや知り合いに「今度香川県に行くんだけどさ。旨いうどん屋を教えてよ」と訊かれることが多くなり、「はりや」を含め5~6店舗のうどん屋を教えるのだが、その友だちや知り合いの殆どが「いや、何だかんだ言って、岡製麺所の肉うどんがダントツに旨かったよ」と言うのである。いや、ホントにそう言うのだ。ま、その岡製麺所を教えたのはオレなのだが、でも1位じゃないだろうと思ったのだ。が、その周りの意見から、オレは自分の頭の中に出来上がっていた岡製麺所の肉うどんのイメージを一旦ゼロにして、毎回新鮮な気持ちで食べてみた。すると不思議なことに「がもううどん」にハマるファンと同様に、そのうどんを食えば食うほど好きになっていき、気がついたら「はりや」のいか天ざるうどんと同じくらい「岡製麺所」の肉うどんが大好きになっていたのである。そう、「はりや」はそのインパクトで好きになったのだが、「岡製麺所」は順々に効いてくる、が、1度味わったら何だか知らないけど逃げられない魅力があるのだ。 


つーことで、これから先、香川県に讃岐うどんを食べに行ってみようと考えてる人たちに対して、今回の原稿が参考になれば嬉しい限りです。以上。 

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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