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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

まるや三バカ親父愚論会 第7夜

 今から1年前、埼玉県富士見市で串カツ居酒屋『まるや商店』を始めた塚ポン(51)。その居酒屋があまりにも居心地が良く、離婚を機に第2の人生を送るために、そのまるや商店の近くに引っ越してきたオレ(62)。そして、元々そのまるや商店の近くに住んでいて、昼間は自営業で雑誌のデザインをやり、夜は必ずその息抜きにやってくる三村さん(67)。まるやのカウンターでは、いつもこの3人が揃って、ポンコツなムダ話を交わしているが、今夜は三村さんはお休みで、その代わりに常連客の竹ちゃん(58)がいるので、今回はその3人のやり取りをご紹介。
 
ゲッツ板谷(以下、ゲッツ)「最近、三村さんは仕事が忙しいせいか、いつもの時間に串カツ屋に来ないことが多いからさ。今夜は、その代わりにサラリーマンの常連客、竹ちゃんに入ってもらおうよ」 
竹ちゃん「えっ、入って何をするんですか?」 
ゲッツ「いや、ただ下らない話をするだけだよ」 
塚ポン「そうそう、いつもこのカウンターで酔っ払って話してるようなことをそのまま話せばいいんですよ」 
竹ちゃん「い、いや、俺は皆さんと違って面白いことなんか全然……」
ゲッツ「何を言ってるんだよっ。竹ちゃんには爆笑ものまね集があるじゃんか」 
竹ちゃん「いや、あのものまねって、ボクと年の近いごく一部の人たちにしか受けない、もの凄くマニアックなものまねだからっ」 
ゲッツ「で、日影さん。沖雅也さんとの関係は?」 
竹ちゃん「ぶっ! いや、だ、だから、一般の人は日影さんのことなんて知らないっスよ!」 
ゲッツ「で、沖雅也さんとの関係は?」 
竹ちゃん「だっ、だから……」 
ゲッツ「沖雅也さんとの関係は?」 
竹ちゃん「もういいじゃないですかぁ~!! 確かに沖と私は愛し合ってましたよっ」 
ゲッツ「ぐぅわはははははははははははっ!! は、腹痛え~。ぐぅわはははははははははははっ!!!」 
塚ポン「えっ……………。今のが竹下さんのものまね? そ、それのどこがそんなに面白いんですか?」 
竹ちゃん「ほらっ、板谷さん。だからボクのものまねはマニアック過ぎて殆どの人はわからないんですよ!」 
ゲッツ「はい、では、その亡くなってしまった旦那さんはあの世からどんなメッセージを送っていられるのか、これから泉アツノさんに旦那さんを呼び出してもらいましょう!」 
竹ちゃん「だから板谷さん、今時泉アツノを知ってる人なんて殆ど……」 
ゲッツ「では泉さん、お願いします!」 
竹ちゃん「はいっ、うん! 汝、お金が欲しいなどと口に出して言ってはダメじゃ。大切なのは待つことじゃ。さすれば自然と汝の元には様々な金品が舞い込んでくるはずじゃ。はいっ、ふん、ふん!! ………こな出ましたけどぉ~(笑)」 

ゲッツ「ぎゃはははははははははははっ!! た、大切なのは待つことじゃって……」
ぎゃはははははははははははははっ!!」 
塚ポン「す、すんません。やっぱり1ミリも笑えないんスけど……」
竹ちゃん「で、でしょ!? 板谷さん、だから止めましょうよっ」 
ゲッツ「待てよっ、コンちゃん! そうやって1回怒られただけで東京に帰っちゃうのかよっ」 
竹ちゃん「だって、ヒロシ!! 悔しいじゃねえかよっ。俺だって一生懸命やってんのによっ。ちょっと間違えただけで帰れって言われてさっ。俺だって、ウウウウ……本気で美味しいラーメンが作りてえから、ウウウウ……ちきしょう!」
ゲッツ「コンちゃん、戻ろうっ。もう1回戻って、師匠に修業を続けさせて下さいって頭を下げよう! 俺もコンちゃんの隣で一緒に土下座をするからよっ、な!」
竹ちゃん「うわあああ~~んっ、ヒロシ!!」 
ゲッツ「コンちゃんんんんん~~~っ!!」 
塚ポン「すいません。他のお客さんが、さっきから固まってるんで、少し静かにしてもらえませんか…………」 
ゲッツ「えっ、塚ポンって昔、みのもんたが司会をやってる『愛の貧乏脱出大作戦!』って観てなかったの?」
塚ポン「ええ、1回も観たことないっス」 
ゲッツ「はい、味噌が顔にハネてくっついたぐらいで、その鍋の底をヘラでかき回す手を止めちゃダメだ!」 
竹ちゃん「は、はい……あ、熱ちぃ!」 
ゲッツ「だから手を止めないっ!!」 
竹ちゃん「はいっ……、ぐっ!!」
塚ポン「あの……だから、他のお客さんもいますんで……」 
ゲッツ「はい、もっと鍋に顔をくっつけて!」 
竹ちゃん「熱ちっ………はい、喜んでえええっ!!」 
ゲッツ「もう、その熱い八丁味噌の中に顔をうずめるつもりで!」 
竹ちゃん「はいっ、喜んでえええっ!!」 
ゲッツ「……………さ、それじゃあ、アナタがお客様のために心を込めて濾した八丁味噌を一口舐めてごらんなさい」 
竹ちゃん「はい………」 
ゲッツ「どうですか?」 
竹ちゃん「……お、おいしいです」
ゲッツ「……そう、おいしいですよ。ウウウウ………そ、その心を忘れないで……合格です!」 
塚ポン「って、失格だよっ!! マジで今日は帰って下さいっ。お金要らないから!」 
ゲッツ・竹ちゃん「おあとがよろしいようで」 

 

 

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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