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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

おメーら、それでもファンか?

 いやいや、オレも数ヶ月前に知ったことなんだけどさぁ~。
 あれでしょ、漫画家の西原理恵子と美容外科医の高須克弥さんが交際、
要するに彼氏彼女の関係になってるんでしょ。……え、そりゃ聞いた最初の瞬間は少し驚いたけど、3~4秒もしたら(やっぱりな……)って含み笑いが出てましたよ。

 つーか、オレは20の頃からサイバラのネーさんとは友だちでね。アイツは本当の親父さんと2番目の親父さんが、それぞれアルコール依存とギャンブル依存が元で早くに亡くなっててね。特にサイバラが19の時まで生きてた2番目の親父さんは、ギャンブルでしょっちゅう借金を作ってたけど、サイバラが自分が今まで通っていた高校を相手取って裁判を起こす時なんかも、アチコチ走り回って四国で1番いい弁護士を連れてきてくれた、サイバラにとっては凄く魅力のある親父だったんだよ。って、これもサイバラは何かに書いたと思うけどさ。
 だから、彼女は凄いファザコンでね。20過ぎからいろいろな出版社で連載を始めると、そこの40代、50代の編集長とアッという間に仲良くなっちゃってさ。いや、仲良くなるっつってもスグにSEXしちゃうとかそういうことじゃなくて、とにかく元同級生のような、とても20~30コの年の開きがあるようには見えないわけですよ。
 いや、もちろん、サイバラは自分と年の近い男とだって付き合ったことはありますよ。学生の頃にはその後、オレをコンビで仕事をすることになる銀角さんと付き合っててさ。んで、何ってったって、今までに唯一結婚したのが、自分と同じ歳のカモちゃんっていうアル中でさ。カモちゃんとの話は彼女の各旅行記や「毎日かあさん」の前編の方にも描いてあるけどね。
 でもやっぱりサイバラは自分と同い歳ぐらいの奴は子供にしか見えないみたいでさ。付き合ったり結婚したりしてみても、結局は生活の大半の面倒を自分が見ることになっちゃってね。
 で、そこに登場してきたのが、YES!! 高須クリニックの高須医院長ですわ。

 この高須さんは元々、サイバラ漫画の熱烈なファンでね。多分、2000年ぐらいから交流が始まったと思うんだけど、あのサイバラも呆れるぐらい、とにかくノンストップでイロイロなことをベラベラ喋ってくるみたいでね。オレも確か2002年ぐらいに1回インタビューをさせてもらったことがあるんだけど、その時、オレは高須さんと話してて(ああ、この人は実はマトモな人なんだなぁ~)と思ったんスよ。
 つまりね、美容整形外科っていうのは、普通の内科とか外科の医者に比べると、凄い低い位置に見られるみたいでさ。で、高須さんは学生時代、自分よりも全然バカだった奴が普通の内科の医者になった途端、急に威張りだしてね。偉そうなことを様々言うばかりでなく、美容整形医なんていうのは本当の医者じゃない! なんてことも話し始めるらしいんですわ。
 で、高須さんは、じゃあコッチはイイ生活をして、どっちが人間として幸せか見せてやるわっ!!って感じで、あの一連のコマーシャルシリーズが始まったらしいんスよね。ま、もちろん、いくらリッチになろうが、それだけで人間の幸、不幸が決まるわけじゃないんだけどさ。でも、あの、一見ベタなCMの奥には、実は自分を差別する医者に対するそういう怒りが隠されてたわけっスよ。

 んで、2007年にサイバラの旦那のカモちゃんが肝臓癌で死んじゃってさ。その数年後には、今度は高須さんが長年連れ添った奥さんが亡くなってね。気がついたら、サイバラも高須さんも独身になってたわけっスよ。
 で、数年後に冒頭で書いた、サイバラと高須さんの交際情報が入ってきてね。いや、もちろんオレは拍手しましたよ。だって、サイバラほどイロイロなことをやってきちゃった人間は、もう普通の人間で満足できるわけじゃないっスか。
 そしたら、未だにオレのところに時々『ゲッツさん、サイバラさんの目をそろそろ覚ませてあげて下さい』とか『サイバラさんは、どうしちゃったんでしょうか!?』なんてメールが来るんだけどさ。バカ野郎っ、おメーらはホントにサイバラ本の読者かよっ? もし、そうだっていうなら一体何を読んでるんだっ!?
 つーか、オレには、そういうメールを送ってくる奴らが、まさしく美容外科を医者じゃないって差別する一般のバカ医者に見えちゃってさ。てか、人間の幸せっつーのは、貴様らが偉そうに決められるほど、底が浅いものでも均一化されたものでもないっつーーーの!!



 つーことで、そういうメールを送ってくるのは、もう止めてね。そんな暇があるなら、ボキの本でも沢山買いなさい。意外と利口になるよ♡

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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