MENU

ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

オレを誘う悪魔の点滅

 今回も、あえて赤面するような話を1つ。 
 今から約7年前のまだ東京都下の立川市に住んでいた頃の話である。 
 その11月も半ばに入る、ある寒い日の夕方になりかけた時のこと。オレは、自宅から10キロほど離れた天プラ屋で遅い昼飯を食べ、自宅に帰ろうと立川駅に向かう道を車で走り始めた。と、スグに赤信号にひっかかり、車を停めて何の気無しに左手の沿道に目をやると、レース用のような本格的な自転車に跨がった女がオレと同じく信号が青になるのを待っていた。 
(それにしても、こんなにもソソる女を見るのは久々だなぁ……。何だよ、このムッチリとした体に密着した銀色のスポーツウェアは。その上、大きなサングラスを掛けてるから細かいところまではわからないけど、年の頃は多分30代の半ばぐらいで、表情もキッと締まったキツ目の何ともセクシーな女だぞ、おい) 

 と、信号が青になり、前傾姿勢でオレの斜め前を走り始めるセクシーねえちゃん。そして数分後、またしてもオレは信号にひっかかり、ふと前方の左側に目をやると、再びセクシーねえちゃんがスポーツウェアに包まれたムッチリとした尻をコチラに向けていたのである。その時、オレの頭の中で炭酸のようなものが弾けた。 
 次に、ふと我にかえると、オレの家はとっくに通り過ぎており、立川市を過ぎた昭島市の新奥多摩街道の交差点、その赤信号の前で例のセクシーねえちゃんを前方にして停まっていた。 (おいおい、なに追っかけてんだよっ!? どうなるわけでもないんだから、早く立川に戻るためにドコかでUターンしろよっ) 
 当然のごとく、オレの頭の中でそんな声が響いた。そして、そうこうしてるうちに信号は青に変わり、オレはとりあえずそのまま真っ直ぐ車をスタートさせた。と、オレの車に付いているカーナビから『灯りを点けて下さい』という声が流れ、オレは慌てて車のスモールライトを点灯させた。そう、時刻は夕方の4時を過ぎており、気がつくと辺りは薄闇になっていたのだ。そして、オレは改めて正面を向いて、アクセルを踏み込んだ時だった。 

(うっ……うぎゃああああああああ~~~~~~~~っ!!) 

 オレの心が思わずそんな雄叫びを上げていた。少し前を走っているセクシーねえちゃんのムッチリとした尻。それが乗っている自転車のサドルの後方部に付いている直径4センチほどの赤くて丸い反射板、それが点滅していたのである。 
えっ? 何でそんなことで雄叫びを上げるんだってぇ~? このバカ! お前はオレのことを何もわかっちゃいないっ。もうこの頃は落ち着いていたが、オレはアナルセックスのマニアなのだ。そう、女のアナルを舐めたり、そこにチンコを突っ込んだりするのが大好きだったのだ。えっ、汚い? 上等だっ。じゃあ、お前。もうこの文章を読むのは止めろっ! そして、もう2度とオレの前に出てくるんじゃねえっ。汚いも何も女の尻の穴がとにかく好きなんだから仕方ねえじゃんかよっ!! 理屈じゃねえんだっ。オレの趣味だっ。オレの心の生理だっ。オレの連立方程式だっ、糞馬鹿野郎おおおおお~~~~~~っ!! 

 はい、話を戻します。そう、つまり、そのセクシーねえちゃんが、オレの車の左手前方から『自分のアナルはココにあるから早く入れてぇ~!!』って合図を送ってきたのである。 
 いや、勿論そんな訳はないんだけど、オレの頭の中では完全にそういうことになってたのだ。で、当然のごとくオレは、そのセクシーねえちゃん、いや、セクシー点滅アナルを追いかけ続けた。で、いつの間にか点滅アナルは福生市の内出交番を左折して、武蔵五日市駅の方に向かい始めたのである。そうこうしてるうちに今度は辺りは真っ暗になってきて、オレも車のライトをスモールライトからヘッドライトに切り替え、依然として点滅アナルを追い続けたのである。 
 既に自分の家を通り過ぎてから約20キロ近く走っていた。が、その行為を止められなかった。だってそうだろう。バリバリのセクシーねえちゃん。そのねえちゃんが前方で尻を突き上げながら「あたしのアナルはココよ。早く!……早く!」というアピールを点滅する反射板で送り続けていて、しかも、辺りが暗くなり始めると、そのアピールが更に濃く、更に強烈になっていくのである。 

 ふと、オレの心の中に悪魔の風が吹いた。 
(あの自転車を真後ろから思いっ切り轢いちまえっ。そして、倒れているあのセクシーねえちゃんのスポーツウェアの尻のところを思いっ切り破り、パンティーも破り、そして、そのアナルの中にオレのチンコをををををっ!!) 

   ウオオオオオ~~~~~ン!! 

(えっ、だ……誰が吠えてんのっ!? オレはまだ、あのセクシーねえちゃんのスポーツウェアも脱がせてないのに……) 
 気がつくと、オレは真後ろにつかれたパトカーに止められていた。そう、思いっ切り信号無視をしていたのだ。 
 つーことで、反則金額の9000円に2点の反則点数を切られ、この違反がきっかけとなり、オレは以後5年間にも及ぶ免停スパイラルに苦しむことになったのだ。 


ま、でも、今考えると性犯罪者になるよりは全然良かったけど、あの夜になるとサドルのところで点滅する反射板だけは発売禁止にしてくれ。……頼むよ、日本。

 

-----------------------------------------------------

『そっちのゲッツじゃないって!』

◇ガイドワークスオンラインショップ
(限定特典:西原理恵子先生表紙イラストのクリアファイル付)
『そっちのゲッツじゃないって!』

◇Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4865356339

バックナンバー

著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

関連書籍

閉じる