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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

価格崩壊ブルース

 いや、とにかくオレっていったら食い道楽じゃないっスか。
 でね、オレも幼少の頃から日本の食べ物が価格崩壊を起こして、気軽に誰でも食べられるメニューになったケースを度々目にしてるわけですよ。
 例えば、オレが小学生の頃は牛丼なんていう食べ物は、街の中華屋やソバ屋でも中途半端にいい牛肉を使った少し高級な一品で、でも、決して人気のあるメニューじゃなかったのよ。もちろん、その頃から吉野家のテレビCMは流れてたんだけど、まだまだ牛丼は全然人気がなくてさ。ところが、数年後にオレが高校生になった時分には、極端に肉がカットされた安価な吉野家の牛丼は、すっかり一般に定着しちゃってね。現在では、腹が減った時にはチャチャっと店に入って、チャチャっと食って出てくる庶民の王道の食べ物にまで昇格したわけでしょ。

 で、オレが中学生になった頃には、今度は回転寿司が出てきてさ。それまで寿司っていったら年に数回しか食べられない、まさに特別な料理だったんだけど、誰もが食べられるメニューになっちゃってね。ま、一時、そのネタの悪さに回転寿司ブームは無くなりかけたんだけど、頑張って復活してきて遂には定着するようになってさ。これによって完全に寿司の世界にも価格崩壊の鉄槌が……いや、オレら一般客には嬉しい流れがきたわけですよ。
 それからオレが20を過ぎた頃には、とにかく外で食べるとバカ高い料金を取られると思っていた天プラ。これも安価の天丼チェーンが出てきて、アッという間に牛丼のように気軽に食べられるようになってね。
 さらにオレが30代になると、絶対に安くは食べられないと思われてきたシャブシャブ&すき焼きも3000円弱で食べ放題の店が出現して、今や2000円以下で食べ放題の店がゴロゴロある始末でさ。
 そして、40代になると横浜中華街の各店が1人1500~3000円ぐらいの料金で食べ放題になって、中華街にも価格崩壊の波が及び、また、数年後には東京では高かった串カツがチェーン店の出現で、焼き鳥以下の値段で食べられるようになったりしてね。
 で、1年前ぐらいからは遂に高い、高いと言われていたピザの世界にも、1枚500円以下のピザを売る店がドバッと出てきて、とうとう価格破壊が成り立っちゃってさ。

 つーか、今回オレは何が言いたいのかと言うと、今までの歴史はさておき、じゃあ、未だに不景気が進む中、これからはどんな食べ物が価格崩壊を起こすのかを予想しましょうや、ってことなんですよ。で、真っ先に頭に浮かんだのが「うなぎ」なんだけど、いや、ソレに関しては関東で美味しい鰻を食ってきちゃった者は安く大量生産させたうなぎは全く食べたくもないから、かろうじてコレだけは価格崩壊は起こらず、むしろこれからも少しずつ鰻丼なんかの値段は上がっていくだろうって言われててさ。
 で、改めて価格崩壊が起こりそうな食べ物を考えて出てきたのが、佐世保バーガーなんですよ。つーか、街中の色々なイベントの時も時々その屋台が出てるけど、佐世保バーガーの値段って高過ぎると思わない? いや、中に挟まってるハンバーグの肉質がどうのこうのって問題もあるとは思うけど、にしても1個800円以上するハンバーガーなんて食いたかねえっスよ、おれ。
 つーか、未だに佐世保バーガーは全国区にはなってないけど、誰がなんと言おうと高すぎだっつーの! つーことで価格破壊の波、次なるターゲットは佐世保バーガーだ!!
 ………ダメぇ?

 

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著者略歴

  1. 板谷宏一

    1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

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